子どもを育てている方がぶつかる壁の一つに「子どものマネー教育」があります。高校でも株式投資を教える時代ですし、誰にでもお金の問題は降りかかってくるものなので、お金の話をまったくせずに育てるというのは現実的ではありません。けれども、どこまで話していいものか迷ってしまいます。
稼いだお金を4つに分類する
子どもへのマネー教育として有名なのは、アメリカのPiggy bank(ブタの貯金箱)でしょうか。投入口が4つあって、それぞれSpend(使う)、Save(貯める)、Invest(増やす)、Donate(寄付する)に分かれています。お小遣いを渡すときに、これら4つを意識させて分散させるという教育方法です。
私もこれは重要な考え方だと思っていて、ときどき話しています。それから、たまには子どもとフリーマーケットに足を運んだり、不用品があればフリーマーケットに出品するのを手伝ってもらったりしています。フリーマーケットへの出店はなかなかできませんが、出典はマネー教育にうってつけなイベントです。子どもと一緒に金額を決めたりするから、という理由もありますが、フリーマーケットでは、お客さんと価格交渉をするのが当たり前です。だから、自然と金銭感覚や流通の仕組みを鍛えられるのがいいですね。不用品を売ることだけを考えると労力がかかりすぎますが、価格を決めて、出店のために商品を並べる時間も楽しいものです。自分の持ち物は、本来の価値よりも高めに見積もってしまうという心理が人にはあるそうです。しかし、それを言葉で説明されるよりも、フリーマーケットで実際に売れ行きを見てもらったほうが、よっぽど子どもには伝わります。
ただ、小銭を貯めても、銀行に預けるだけで手数料がかかってしまうので、そろそろキャッシュレスの使い方も教えたほうがいいのかな…、とは思っています。
子どもを不安にさせ過ぎてはいけない
子どもからお金の質問をされたときには、基本的に正直な回答をするように心掛けています。あと1つ大切にしているのは、「不安をあおるような冗談は言わない」「お金が足りないという事実があっても、それを強調しすぎない」ということ。子どもは、大人よりもずっと不安に敏感です。子どもがおもちゃをねだったときに「うちにはこれを買うお金がまったくない、もし買ったら路頭に迷うかもしれないよ」と、冗談のつもりで言ったとしても、子どものほうは真に受けてしまって、それで長く悩み、苦しんでしまうこともあるかもしれません。できるだけそうやって茶化すことはせず誠実に、でも「食べていくのには困らないよ」というメッセージを伝えることは大切にしています。