おふざけ期

3歳ごろからのおふざけ期はADHD?

子どもが3歳ごろからおふざけをすることが増えると、その行動がADHD(注意欠如・多動性障害)と混同されることがあります。
では、おふざけ期とは何であり、ADHDとはどのような状態なのでしょうか?ここではその違いや理由、そして適切な対処法について紹介します。

おふざけ期とは

おふざけ期とは、幼い子どもが周囲の人々や環境との関わりの中で、意識的あるいは無意識的にジョークやいたずらを行う時期です。これは一般的に成長の一環として見られ、子どもが自己表現や社会性を発展させるためのプロセスです。

おふざけ期は、3歳から4歳の男子児に特に見られる成長期の一つであり、幼児が自己表現や身体能力の発達を通じて行う行動の一部です。この時期の子どもは、とにかくふざけたり、無駄にエネルギッシュに振る舞ったり、周囲の期待に添わない行動をすることがよくあります。
特徴としては、次のような行動が挙げられます。

無駄な行動

着替えや片付け、お風呂など、やらなければならないことをせずに、お尻を振ったり、変顔をしたりします。自分の世界に入り込んで長い棒を振り回すこともあります。

反抗的な行動

自分の欲求や興味に従って行動する傾向があり、ゲームや遊びのルールを守らずに自分の思い通りに行動することがあります。これは、自己主張や独立心を表現するための一種の試みと捉えられます。

テンションの変化

お母さんが幼稚園や保育園などから迎えに来ると、興奮して問題行動を起こすことがよく見られます。テンションの上がり方が極端で、瞬間的に行動が荒れやすい傾向があります。

軽はずみな行動

行動の結果や他者への影響を考えずに行動することがあります。そのため、自分のやりたいことや欲求を優先してノリで良くないことを言ったり行動したりすることがよく見られるでしょう。

これらの行動は、幼児が自身の感情や周囲の期待に対処するための手段として現れるものであり、一般的に成長の一部として捉えられます。親や保育者が理解し、適切に対処することで、子どもの成長をサポートすることが必要です。性格的な特徴が発揮される過程であり、子どもの個性や長所・短所の発展につながる重要な時期と捉えることもできます。

ADHD(注意欠如多動症)とは

ADHDは、注意欠如・多動性障害の略称です。これは神経発達の障害の一種であり、注意力の欠如や過活動、衝動性などが特徴です。診断には専門家の評価が必要ですが、おふざけ期とADHDの行動はしばしば似ていることがあります。
ADHDの症状には、不注意優勢、多動・衝動優勢、混合タイプの3つの主要なタイプがあります。

不注意優勢

不注意の特徴が強く現れ、「多動・衝動」の特徴があまり強くないタイプです。共同生活では集中できず、忘れ物が多い、気が散りやすいなどが特徴です。

多動・衝動優勢

多動性と衝動性の特徴が強く現れ、「不注意」の特徴があまり強くないタイプです。授業中に立ち歩く、答えることが多い、感情や欲求の制御が苦手などが特徴です。

混合タイプ

不注意と多動・衝動の特徴をともに症状が出ているタイプです。

ADHDの子どもは、集団生活で以下のような傾向が見られます。

  • 集中することが難しい
  • 物を失くしやすい
  • 落ち着きがない
  • 指示やルールを守ることが難しい
  • 衝動的な行動や話し方が目立つ

ADHDの原因は脳の機能障害に関連しており、特に前頭葉の働きが弱いことが指摘されています。前頭葉は注意を持続させたり行動をコントロールする役割を担っています。ADHDの人はこの機能に偏りや異常があると考えられています。また、遺伝や環境の影響も関与する可能性があります。

おふざけ期とADHDの類似点は、多動性と運動の活発さに関して、おふざけ期の3歳から4歳の子供は体を絶えず動かしたり、元気に走り回ったりする傾向があります。同様に、ADHDの特徴としても多動性が強く、落ち着いていることが難しく、授業中や静かな場面でも体を動かしたがる傾向が見られます。

また、衝動的な行動についても、おふざけ期の子供は思いつきで突然物事を始めることがあります。これに対し、ADHDの子供は衝動性が高く、待つことやルールを守ることが難しく、即座に欲求や衝動に従って行動することがあります。

注意力の欠如も共通しています。おふざけ期の子供は授業や作業に集中できないことがよくありますし、ADHDの特徴としても注意欠如が主な問題であり、継続的な注意を維持することが難しく、気が散りやすい傾向があります。

そして、規則やルールの理解と遵守の難しさも共通点です。おふざけ期の子供はまだ規則やルールを完全に理解して、遵守することが難しい場合があります。同様に、ADHDの子供もルールや指示を守ることが難しく、衝動に従って行動することがあります。

社交性とコミュニケーションについても、おふざけ期の子供は社交的であり、周囲とのコミュニケーションを楽しむ一方で、行動がやや過激になることがあります。同様に、ADHDの子供もおしゃべりや他者との関わりが多いですが、自己コントロールが難しいため、適切なコミュニケーションが困難な場合があります。

3歳から4歳の子供の行動はおふざけ期に似ている場合、それがADHDの兆候なのか判断するのは難しいとされています。ADHDの特性は早い段階で現れることがありますが、診断されるのは7歳ごろからが一般的です。幼児期の問題行動は、思春期になると自然に落ち着くこともあります。

2~3歳の特徴は多動性や衝動性であり、静かに座っていることが苦手など、親にとってもストレスを感じることがあります。しかし、これらの行動がただの成長段階の一部である可能性もあるのです。ADHDと診断された場合でも、その特性は年齢とともに変化することもあります。

ふざける理由

子どもがおふざけをする理由には、いくつかの可能性があります。

子どもがふざけることは、親の注意を引きたいという要求やSOSのサインとして考えられることがあります。子どもがストレスを感じていたり、見てほしいと思っている場合に、ふざける行動を通じてアピールしているのです。特に、最近できないことが続いたり、友達とのトラブルがあったり、環境の変化があったりすると、満たされない気持ちやストレスが表面化してくることもあります。

また、反対に子どもが反応を楽しんでいる場合もあります。特に4歳や5歳になると、大人の反応や困っている様子を見ることが楽しく、大人の言うことを無視してふざけることもするでしょう。このような場合は、子どもの楽しみを邪魔しないように無視し、時間をおいて冷静に話し合い、何が適切で何が適切でないかを伝えることが大切です。

親は子どものふざける行動に対して、むやみに叱ったりせず、その背後にあるメッセージや子どもの気持ちに耳を傾けることが大切です。ストレスや不安、または楽しさを求める気持ちを受け止め、子どもとのコミュニケーションを大切にしていきましょう。

おふざけ期の対処法

おふざけ期には、適切なサポートと対処法が重要です。

状況をポジ変する方法

子どものおふざけが問題行動につながる場合、それぞれの特性や成長過程が反映されていますが、親が適切に対応することで状況をポジティブに変えることができます。

わがままな子は、話のわかる人になるというポジ変

子どもがわがままな行動を示すときは、親が理解と受け入れを示すことが大切です。子どもが望むことの全てを叶える必要はありませんが、少しでも子どもの気持ちに寄り添ってあげることで、子どもは自分の気持ちを伝えることの大切さを学びます。
親が子どもの要望を無視せず、寄り添って話を聞くことで、子どもは相手の気持ちを尊重することを学びます。

がんこな子は、筋の通った人になるというポジ変

子どもが頑固な態度を示すときは、親が柔軟性を示すことで対処できます。子どもには、自分の意見や考えを尊重する大切さを理解させつつ、適切な場面で柔軟に対応できるように示すことが重要です。
親が子どもの主張を尊重しつつ、時には必要な譲歩を求めることで、子どもは自分の考え方を確立し、他者との調和を築く力を育むことができるでしょう。

甘えん坊な子は、失敗を恐れない人になるというポジ変

子どもが甘えることを求めるときは、親が安心感を与えることで子どもの自己肯定感を育むことができます。子どもが失敗や困難を乗り越えるためには、まずは安心して挑戦できる環境が必要です。
親が子どもの甘えを理解し、適切に受け止めることで、子どもは自己効力感を高め、積極的に新しいことに挑戦する勇気を育むことができるでしょう。

親が子どもの行動に対して柔軟な理解を示すことで、子どもは自己肯定感を持ち、他者との関係を築く力を身につけて成長していきます。しつけや規律は大切ですが、子どもの成長を促すためには、まずは子どもの内面に寄り添い、ポジティブな環境を提供することが重要です。

やりすぎなくらい褒める方法

子どものポジティブな行動には積極的に反応し、適切な褒め言葉や励ましを行います。これにより子どもは良い行動にポジティブなフィードバックを受け取り、それを維持しようとします。

普段の行動を具体的に褒める

子どもが日常的に行っている行動や努力に目を向け、具体的な点を褒めることが大切です。例えば、幼稚園や保育園から帰ってきた際に「ちゃんと歩いて帰ってこれたね」とか「連絡シール貼れたね」といった具体的な行動に着目して褒めることで、子どもは自分の行動が認められることを実感します。

努力や過程を褒める

結果だけでなく、努力や取り組みを褒めることが重要です。例えば、「これができたのは、お家でも練習を頑張ってきたからだね」といった具体的な努力を褒めることで、子どもは努力が大切であることを学びます。

無条件に褒める

子どもが家事や手伝いをした際には、その感謝の気持ちをしっかり伝えることも褒めの一環です。「お掃除してくれてありがとう、助かったよ!」という言葉は、子どもにとって大きな励みになります。また、子どもの存在そのものに対する無条件の愛情を伝えることも大切です。

やりすぎなくらい褒めることは、子どもの自己肯定感や行動への動機付けに効果的ですが、具体的で適切な褒め方が重要です。子どもの成長や努力を褒め、自信を育む環境を整えることで、子どもは自己肯定感が満たされ、おふざけではない形で積極的に物事に取り組めるようになるでしょう。

とことん付き合って注目する方法

子どものおふざけが表面的な行動である場合でも、その背後にある意図や感情を理解しようと努め、子どもとのコミュニケーションを深めることが大切です。
子どもとの関係性を深めることで、子どもの自己肯定感や成長を促進するためのアプローチをしていきましょう。

子どもの行動や興味に興味を示す

子どもが何かをしているときには、積極的に興味を示しましょう。「何を作ってるの?」や「これはどうやって作ったの?」といった質問を通じて、子どもの活動に対する関心を示します。子どもは自分の話を聞いてもらうことが好きなため、関心を持たれると喜びに変わります。

短時間でおふざけに付き合う

子どもがふざけているときには、極力静観し、付き合ってあげましょう。観察しながら笑顔で接することで、子どものやりたいことを満足させます。このような接し方を通じて、子どもは自らおふざけを終了する習慣を身につけることがあります。

ギブアンドテイクの関係

子どもとの関係はギブアンドテイクが重要です。親が子どものやりたいことに付き合うことで、子どもも親の要望やタイミングに理解を示すようになります。バランスを保ちながら、子どもとのコミュニケーションを深めていくことが重要です。

ことん付き合って注目するアプローチは、子どもとの信頼関係を築きながら、子どもの成長や自己肯定感を促進する効果的な方法です。子どもの個性や特性に合わせて柔軟に接することで、子どもとの関係性がより良いものになるでしょう。

おふざけ期は子どもの成長過程の一部であり、適切な対処法を通じて子どもが社会性を発展させる手助けをする重要な時期です。しかし、異常な行動や発達の遅れが疑われる場合は、早めに専門家との相談をしましょう。