読書を始めた理由
私は育児と家事に追われる日々の中で、スマートフォンの画面を見続けても心が落ち着かず、何か自分をリセットできる時間がほしいと感じていました。
あるとき、SNSでブックカフェの写真や「読書で心が整う」というコメントを目にし、興味を抱いたのがきっかけです。そこで、はじめは小説ではなく、エッセイや短編で手軽にページをめくれるものから試してみることにしました。数分の合間にも読めるため、育児中でも継続しやすいと思ったのです。
さらに近所の図書館で開催されていた読書会に参加したところ、同じ本を読んだ人たちと感想を交換し合う場があり、そこで得た気づきが習慣化の大きな後押しとなりました。読書を通じて人とつながる楽しさを知り、自分の考えを言葉にする経験が増えたことで、ますます読書時間が私にとって大切なものになりました。
心に残った一冊
数ある本のなかで特に印象深いのは、村上春樹さんのエッセイ集『職業としての小説家』です。この作品には日常の些細な出来事や著者自身の思考が綴られており、読み進めるうちに自分の日常も見つめ直すきっかけとなりました。
たとえば、散歩中に目にする景色やコーヒーを淹れる習慣に込められた意味を、繊細な言葉で表現している点に心を打たれました。その感性に触れることで、私自身も日常に潜む小さな幸せを意識しながら過ごすようになりました。
子どものお昼寝の間に少しずつ読み進めることで、忙しい合間にも文章に没頭し、心が軽くなる体験を繰り返しました。翌朝は、コーヒーではなくハーブティーを淹れて窓辺に座り、ノートに感じたことを書き留める習慣が生まれました。こうした行動が毎日の生活に彩りを加えてくれています。
また、オンライン上で同書を読んだ人たちが集まるコミュニティにも参加し、「この一節が響いた」「こう解釈すると新たな発見がある」といった意見交換をしながら多様な視点を知ることができました。これらの経験が、読書体験をさらに豊かなものにしてくれたのです。
読書がもたらすリラックス効果
読書はスマートフォンやテレビとは異なり、文字をイメージすることで脳が適度に休まる効果があります。イギリス・サセックス大学の研究によれば、わずか6分間の読書でストレスレベルが約68%低減したという報告があるほど、短時間でも大きなリラックス効果が期待できます。
私は読書中に呼吸法も取り入れています。具体的には「4秒かけて息を吸い、7秒間息を止め、8秒かけてゆっくり吐く」という方法を意識することで、副交感神経が活性化され、さらに深いリラックスを得られる実感があります。文章を読むたびにこの呼吸を繰り返すことで、緊張がほぐれ、心がふっと落ち着くのを感じます。
また、読書中は目を閉じて登場人物や情景を想像することで、日常の雑多な音や情報から一時的に解放され、自分だけの静かな空間に没入することができます。これにより、家族と過ごす時間に心の余裕が生まれ、娘との会話もより穏やかになりました。
さらに、読書で得た知識や言葉は、ママ友との会話にも深みを与えてくれます。たとえば、共感した一節を紹介することで、子育ての悩みや家事の工夫に関する話題が広がり、新たなつながりを築くきっかけになるのです。読書を通じて得た言葉が、日々のコミュニケーションを豊かにしてくれています。
最後に、図書館の電子貸出サービスを活用すれば、外出せずにスマートフォンやパソコンから本を借りることができます。東京都内の多くの図書館では「Bibli-on」や「MEDIA+」といったサービスを導入しているため、忙しい家事の合間でも手軽に本を読むことが可能です。これらを活用しながら、これからも読書習慣を続け、心にゆとりを持って豊かな日々を過ごしていきたいと思います。